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こんにちは!菊名駅西口から徒歩1分の歯科・歯医者「ししどファミリー歯科菊名駅前」院長の田中です。
歯列矯正を考えている方の中には、「もし思った通りにいかなかったらどうしよう…」と不安に感じる方もいらっしゃるかもしれません。実は、矯正治療が終わった後に歯並びが少しずつ元に戻ってしまったり、矯正中に虫歯や歯周病になってしまったというお話を聞くこともあります。
残念ながら、そういった失敗例は完全には避けられないものです。
でも、だからと言って心配しすぎる必要はありません。日常的にお口の中を清潔に保ったり、歯科医師のアドバイスをきちんと守ることで、失敗のリスクを軽減することができます。
今回のコラムでは、矯正治療中によく起こりがちな失敗例と、それを防ぐためのポイントについて詳しくお話ししていきます。この記事を読んで、安心して歯列矯正に取り組めるようなヒントを見つけていただけると嬉しいです!
矯正治療のよくある失敗例
歯列矯正で美しい歯並びを手に入れた方がたくさんいらっしゃる一方で、「矯正をしたけれど、少し後悔している…」と感じる方も残念ながら存在します。では、どんな失敗が起こり得るのでしょうか?
実際の治療現場でよく見られる失敗例として、以下のようなケースが挙げられます。
1.矯正後の後戻り
後戻りとは、矯正して整えた歯が、少しずつ元の位置に戻ろうとする動きのことです。
実は、この「後戻り」は、矯正治療をする上で避けられない問題の一つなんです。そこで、矯正が終わった後は、リテーナーという装置を使って歯を安定させる「保定」という期間が設けられます。
保定期間は、矯正期間のおよそ2倍くらいかかることが多く、最初の頃は1日20時間以上リテーナーを装着することが推奨されています。徐々に装着時間を減らしていくのですが、特に矯正直後は歯が元の位置に戻りやすいため、リテーナーを指示通りに使わないと、後戻りが起こってしまうこともあります。
もし歯が大きく後戻りしてしまうと、せっかくの矯正治療が無駄になってしまう可能性もあるので、しっかりとリテーナーを使うことがとても大事です。ワイヤー矯正でもマウスピース矯正でも、リテーナーの使用はどちらも必要です!
2.治療期間の延長
矯正治療が思ったよりも長くなって、「なかなか終わらない…」と感じること、ありますよね。
実は、私自身も矯正治療を受けたことがあるので、この気持ちはとてもよくわかります!
矯正治療では、初めに計画された歯の動きが予定通りに進まず、当初の予定よりも治療が延びてしまうことがよくあります。これは決して珍しいことではなく、次のような原因が考えられます。
マウスピース矯正の場合
- マウスピースが正しくはまっていない状態で治療を続けてしまった
- 装着時間を守らず、歯科医師の指示に従わなかった
- 初期の治療計画が現実的でなかった
また、想定外の方向に歯が動いてしまうこともあります。この場合、歯を正しい位置に戻すために追加の工程が必要となり、治療期間が延びることがあります。
ワイヤー矯正の場合
- 虫歯や歯周病の発生
ブラケット(矯正装置)のせいで歯磨きがしにくくなり、虫歯や歯周病が進行してしまうと、治療を一時中断せざるを得ないことがあり、その分治療期間が延びてしまうことがあります。 - 歯の動きが遅い
10代や20代は代謝が良く、歯が動きやすい傾向がありますが、ある程度年齢を重ねた大人の方は歯の動きが遅くなることがあります。個人差はありますが、歯の動きが遅いと治療期間が長引くことも。
思い描いていた歯並びと違う
矯正治療を終えた後に、「自分が想像していた仕上がりと違う…」と感じて後悔することもあります。こうした事例が発生する主な原因は、治療前や治療中に歯科医師とのコミュニケーションがうまく取れていなかったことが多いです。
治療が進む中で、歯科医師と患者さんとの間で完成イメージがしっかりと共有されていなかった場合、「歯科医師は治療結果に満足しているけれど、患者さんが納得できない仕上がりになってしまった」ということが起こることがあります。
そのため、治療開始前だけでなく、治療中も担当の歯科医師としっかりとコミュニケーションを取りながら、ご自身の完成イメージを共有することがとても重要です。
噛み合わせの問題
「前歯の位置や歯並びが改善されたけれど、噛み合わせがうまくいかなかった…」というケースもあります。矯正治療の目的は、歯並びと噛み合わせの両方を改善することですが、必ずしも両方がうまくいくとは限りません。
例えば、マウスピース矯正の場合、装着時間が不足していたり、シミュレーション通りに歯が動かないことがあります。これは、歯科医師の技術や治療計画が原因となることもあります。
ワイヤー矯正でも、噛み合わせを調整するための顎間ゴムが正しく使われなかったり、歯科医師の技術不足が影響して、噛み合わせが悪くなることがあります。
当院では、見た目の改善だけでなく、噛み合わせを含む機能全体を考えた矯正治療を心がけています。どんな治療でも、総合的なサポートを大切にしていますので、安心してご相談くださいね。
歯肉退縮
矯正治療が終わった後に「歯茎が下がってきた」と感じることがあります。これは最近、アメリカの矯正学会でも話題になっている問題です。
特に成人の矯正治療では、歯茎が下がってしまい、歯の根元に黒い隙間(ブラックトライアングルと呼ばれます)が目立つことがあります。歯茎が下がると、見た目に悪影響を与えるだけでなく、隙間に食べ物が詰まりやすくなり、むし歯や歯周病のリスクが高まることもあります。
歯茎が下がる原因として、以下のようなことが考えられます。
- 歯の根元がくびれている形状
- 不用意な矯正力
- 歯周病の進行
- 骨から外れて歯を移動させた
- 不適切な歯ブラシや歯間ブラシの使用
歯肉退縮が心配な方は、矯正治療を始める前に、歯科医師に自分の歯茎の状態や下がりやすいかどうか診断してもらうことをおすすめします。
当院では、歯肉を移植するような歯周形成外科も得意としており、そうした対応についても十分にサポートさせていただきますので、安心してご相談ください。
失敗を避けるためのポイント
歯列矯正を成功させるためには、事前にしっかりと対策を立てることが大切です。以下のポイントを参考にして、リスクを最小限に抑えましょう。
●治療前
1.信頼できる歯科医師を探す
歯列矯正では、歯科医師が様々な検査結果に基づいて診断し、治療計画を立てます。
レントゲンで歯の角度や位置を確認し、顔の検査で口元の突出具合や笑ったときの歯の見え方をチェックし、CTで歯を移動できる範囲を確認します。これらの情報をもとに、最終的な歯の位置や歯並び、噛み合わせを決定します。精度の高い治療を行うためには、歯科医師の技術が非常に重要です。
もし、経験が浅い歯科医院や信頼性に欠ける医院を選んでしまうと、正確な治療計画が難しくなり、治療の失敗リスクが高まります。
2.治療後のリスクを理解しておく
歯列矯正にはリスクも伴いますので、事前にしっかり確認しておくことがとても大切です。
どんな医療行為にもリスクがあることを理解したうえで、歯列矯正を行うかどうかをじっくり検討しましょう。残念ながら、治療のメリットばかりを強調し、デメリットや注意点をあまり説明しない歯科医師もいることがあります。
メリットだけを聞いて治療を始めてしまうと、思いがけないデメリットに直面して後悔することも考えられます。また、診断によっては、理想としていた歯並びや口元にならない場合もあるのです。
だからこそ、メリットとデメリットの両方をしっかり説明してくれる歯科医院を選ぶことが大事だと思います。治療を進める前に、きちんと納得できる説明を受けてから決めましょう。
●治療中
1.矯正期間中の口腔ケアが大切です
歯列矯正は治療期間が長くなることが多いため、その間、口の中を清潔に保つことがとても大事です。
特にワイヤー矯正では、ブラケットの周りに汚れが溜まりやすく、虫歯や歯周病のリスクが高まります。そのため、普段よりも丁寧なセルフケアが必要になります。当院では、ブラッシングの指導や洗口剤の使用をお願いし、患者様がしっかりとケアできるようサポートしています。
マウスピース矯正の場合も、汚れた状態でマウスピースをつけ続けると、虫歯になる可能性が高まります。もし、口の中が不潔な状態で虫歯や歯周病になってしまうと、治療期間が延びてしまったり、追加の治療費がかかることもあります。
また、マウスピース矯正では、歯の形が変わることで新しいマウスピースを作り直す必要が出てくる場合もあります。
治療中は、いつも以上にしっかりとセルフケアを心がけましょう。歯ブラシに加えて、歯間ブラシやデンタルフロスを使うことで、口腔内を清潔に保ちやすくなります。難しい場合は歯科医師や衛生士にご相談くださいね。